サルゴリラ
概要
サルゴリラは、赤羽健壱と児玉智洋による吉本興業所属のお笑いコンビ。ともに東京都出身、NSC東京校9期生で、公式プロフィール上の結成は2016年1月1日。前身は松橋周太呂を含むトリオジューシーズで、ジューシーズ解散後に赤羽・児玉の2人で再出発したコンビである[1]。
最大の転機は、キングオブコント2023優勝。決勝初進出ながら、1stステージ・ファイナルステージともに482点、合計964点を記録し、当時の現行審査システムで歴代最高得点を更新して第16代王者となった[2]。
メンバー
赤羽健壱
赤羽健壱は1979年4月6日生まれ、東京都出身。吉本興業公式プロフィールでは、身長170cm、体重77kg、血液型O型。趣味はスニーカー、ダイエット、散歩。特技として「ダイエットで40キロ痩せた」が挙げられている[3]。
舞台上では、児玉と同じくボケ・ツッコミを固定しすぎないタイプだが、サルゴリラのコントでは、状況に巻き込まれる人物、変なルールを受け入れてしまう人物、異様に素直な人物などを演じることが多い。赤羽の魅力は、強いキャラクターを押し出すよりも、「普通の人なのに少しずつズレている」感じを自然に出せるところにある。
児玉智洋
児玉智洋は1979年11月14日生まれ、東京都出身。吉本興業公式プロフィールでは、身長173cm、体重70kg、血液型B型。趣味は銭湯・サウナ巡り、特技は「さんまの丸飲み」「手押し相撲負けた事ない」[1]。
児玉は、サルゴリラ以前からピース又吉直樹、パンサー向井慧との関係でも知られ、NHKラジオの『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』にも出演している。NHKの公開収録案内でも、番組10年目に関する情報が確認できる[4]。
幼なじみ性
サルゴリラを語るうえで最重要なのは、2人が幼少期からの幼なじみである点。杉並区の公式記事では、2人は高円寺に生まれ育ち、旧杉並第四小学校の母校で幼少期や下積み時代を振り返ったと紹介されている。同記事では、2人が大学卒業後にNSCへ入り、トリオ結成・解散を経て2016年にサルゴリラを結成したこと、コンビ名をピース又吉が命名したことも説明されている[5]。
この「幼なじみ感」は、単なるプロフィール上の情報ではなく、芸風そのものに深く影響している。サルゴリラのコントは、強いツッコミで展開を制御するというより、2人が同じ温度で変な状況に入り込み、互いの空気を信じてズレを積み重ねていくタイプである。そのため、コンビ間の距離感が近く、会話の間に「説明しなくても通じている」感じが出る。これは若手コンビのスピード感とは異なる、長い関係性から生まれる強みである。
経歴
ジューシーズ時代
サルゴリラの前身は、赤羽健壱、児玉智洋、松橋周太呂によるトリオジューシーズ。オリコンのプロフィールでは、ジューシーズは2006年結成、2015年12月解散とされている。お笑いナタリーのプロフィールでも、2015年12月27日の単独ライブをもって解散し、赤羽と児玉が新コンビ・サルゴリラとして活動を始めたと整理されている[6]。
ジューシーズ時代は、劇場・テレビ・コント番組文脈で一定の存在感があり、特にテレビ朝日系の『333 トリオさん』など、トリオ芸人が集まる番組文脈でも知られていた。ジューシーズとしてキングオブコント準決勝に複数回進出していたことも、のちのサルゴリラの土台になっている[7]。
サルゴリラ結成
2015年末にジューシーズが解散し、2016年1月、赤羽と児玉は新コンビサルゴリラとして再出発した。お笑いナタリーは、元ジューシーズの赤羽と児玉による新コンビとしてサルゴリラを報じており、コンビ名はピース又吉直樹からもらったものとされている[8]。
コンビ結成時点で2人はすでに30代後半に差しかかっており、若手としての売り出しというより、劇場でコントを磨き直す再出発だった。ここがサルゴリラの物語性を強くしている。つまり、彼らは「急に出てきた遅咲き」ではなく、長い劇場経験とトリオ時代の蓄積を持ったコンビが、形を変えてようやく大きく届いた存在である。
メトロンズ
サルゴリラは、しずる、ライス、構成作家・中村元樹らと組む演劇ユニットメトロンズのメンバーでもある。吉本興業公式プロフィールでは、メトロンズはしずる、ライス、サルゴリラ、作家中村元樹の7名によるユニットと説明されている[9]。
メトロンズは、コント芸人の演技力・構成力・会話劇の強さを演劇的に発展させる場であり、サルゴリラのコントにも影響していると考えられる。特に、設定の中で人物がどう生きるか、場面がどう転がるかを重視する作りは、単発ギャグよりも演劇的なコントに近い。
キングオブコント2023
サルゴリラ最大の転機は、キングオブコント2023である。初の決勝進出で、1stステージではコント「ルール」を披露し482点を獲得。ファイナルステージでも482点を獲得し、合計964点で優勝した[2]。
この優勝にはいくつかの重要な意味がある。
第一に、決勝初進出での優勝であること。
第二に、合計964点という高得点で、現行審査システムにおける歴代最高記録とされたこと[10]。
第三に、赤羽・児玉ともに40代での戴冠であり、FANYマガジンなどでも「史上最年長王者」として報じられたこと[11]。
KOC2023でのサルゴリラは、勢いの若手というより、長く劇場で磨いてきたコント師が、完成度で一気に評価された形だった。ネタの特徴としては、奇抜な設定を置きながらも、人物の反応が丁寧で、観客が「そんなルールあるのか」と受け入れていく過程が笑いになる。大声や瞬発力だけでなく、状況の違和感を積み上げるタイプのコントで勝ち切った点が大きい。
芸風・特徴
サルゴリラの芸風は、一言でいえば「日常的な会話の温度で、異常な状況を押し通すコント」である。
典型的な特徴は以下の通り。
| 観点 | 特徴 |
|---|---|
| 設定 | 一見わかりやすいが、少しずつ不条理になる |
| 演技 | 大げさすぎず、会話劇に近い |
| 笑いの作り方 | 変なルール、ズレた常識、人物の奇妙な納得 |
| コンビ関係 | 幼なじみ由来の自然な間、友人同士の空気 |
| 強み | 劇場向きの安定感、人物造形、演劇的な持続力 |
サルゴリラのコントでは、異常な人物が急に暴れるというより、普通の人物が普通の顔で変なことを言い、相手もまた普通の顔でそれに対応する。この「普通の顔をした異常」が強い。観客は最初に設定の変さで笑い、次にその変さがルール化していくことで笑い、最後にはその世界が当然のものに見えてくる。
また、幼なじみコンビであるため、2人の会話に「説明しすぎない強さ」がある。ツッコミで全部を回収するのではなく、互いに少し泳がせる。ここにサルゴリラ特有の柔らかさがある。
主な活動
劇場・ライブ
吉本興業公式プロフィールには、ルミネtheよしもと等の劇場出演やトークライブなどの公演情報が掲載されている。KOC優勝後も、テレビ露出だけでなく劇場・寄席・単独ライブを軸に活動している[1]。
2026年には、結成10周年の単独ライブ『カレー&ラーメン4』を赤坂RED/THEATERで開催。特設サイトでは、2026年5月1日から10日までの日程が確認できる[12]。
FANYマガジンの取材では、現在の活動について、寄席の出番を中心にしながら、メトロンズ、単独ライブ、ツアーなどを行っていることが語られている[13]。
YouTube
サルゴリラはYouTubeチャンネル『幼なじみチャンネル』を運営している。YouTube上では、チャンネル登録者数約4万人台、動画数150本超であることが確認できる[14]。
チャンネル名の通り、企画の核は「幼なじみ感」である。派手なドッキリや過激な企画というより、2人が街を歩く、食べる、話す、思い出を辿るといった内容と相性がよい。高円寺出身の2人という背景もあり、地元性・友人感・中年男性のゆるい楽しさがチャンネルの空気になっている。
ラジオ
児玉は、又吉直樹、向井慧とともに『又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間』に出演している。NHKオンデマンドの番組説明では、3人がリスナーの悩みに寄り添う相談室的な企画が紹介されている[15]。
児玉はサルゴリラ本体だけでなく、又吉・向井との関係性の中でも独自のポジションを持っている。ここでは強烈なボケ役というより、友人関係の中でにじむ人柄、少し抜けた味わい、自然な会話の面白さが出ている。
俳優・ドラマ出演
2025年にはNHK大河ドラマ『べらぼう〜蔦重栄華乃夢噺〜』にゲスト出演。MANTANWEBでは、第8回に吉原を訪れる客の役として赤羽・児玉が出演したことが報じられている[16]。
さらに2026年5月の報道では、2人が『べらぼう』に複数回出演していたことにも触れられており、今後の映像作品出演への意欲も語られている[17]。
評価・位置づけ
サルゴリラは、2023年のKOC優勝によって一気に全国的な知名度を得たが、その本質は劇場育ちのコント師である。若手の爆発力ではなく、長い関係性と長い下積みによって培われた「間」「人物」「設定処理」で勝負するタイプであり、コント界においてはかなり重要な位置にいる。
特に評価すべき点は、以下の3つ。
1つ目は、遅咲きの説得力。ジューシーズ時代からの経験、解散、再結成、劇場での継続が、KOC優勝に直接つながっている。
2つ目は、幼なじみコンビとしての自然さ。ビジネスコンビの緊張感ではなく、長年の友人同士がそのまま舞台に立っているような空気がある。これは作ろうとして作れるものではない。
3つ目は、演劇ユニット・メトロンズとも接続するコント性。単なる賞レース用の4分コントだけでなく、長尺の舞台、会話劇、人物の持続に強みがある。
代表的な文脈
サルゴリラをお笑い史・現代コント史の中に置くなら、以下のように整理できる。
| 文脈 | サルゴリラの位置 |
|---|---|
| NSC東京9期 | しずる、ライスなどと近い世代・劇場文脈 |
| ジューシーズ | トリオ解散後に再構成されたコンビ |
| KOC史 | 2023年王者、歴代最高得点級の優勝 |
| メトロンズ | コントと演劇の中間領域を担う芸人ユニット |
| 幼なじみ芸人 | 高円寺・杉並の地元性と長い友人関係 |
| 遅咲き芸人 | 40代で大きく評価された劇場型コント師 |
関連人物・ユニット
まとめ
サルゴリラは、単に「キングオブコント2023王者」というだけでは捉えきれない。彼らは、幼少期からの関係、ジューシーズ時代の蓄積、解散後の再出発、劇場での新ネタ作り、メトロンズでの演劇的活動を経て、40代で大きく花開いたコント師である。
芸風は、派手な瞬発力よりも、会話の自然さ、不条理な設定、人物のズレ、幼なじみの空気によって成立する。KOC2023の優勝は突然の奇跡というより、長く磨いてきたコントの完成度が、全国放送の場で一気に可視化された出来事だったと言える。
関連項目
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 サルゴリラ プロフィール, 吉本興業, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 2.0 2.1 サルゴリラ「キングオブコント2023」優勝会見、コントは一生やっていきたい, お笑いナタリー, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 赤羽健壱 プロフィール, 吉本興業, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 4.0 4.1 又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間, NHK, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 5.0 5.1 すぎなみビト お笑い芸人 サルゴリラ, 杉並区, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 6.0 6.1 ジューシーズのプロフィール, ORICON NEWS, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 幼馴染の児玉と赤羽がトリオ・ジューシーズの解散を経て現コンビへ, ぴあエンタメ情報, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 赤羽&児玉の新コンビ・サルゴリラが生報告、明日「よしログ」で, お笑いナタリー, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 9.0 9.1 メトロンズ プロフィール, 吉本興業, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ キングオブコント2023の優勝者・決勝進出者まとめ, お笑いナタリー, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ "史上最年長王者"サルゴリラ、念願のキングオブコント優勝, FANY Magazine, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ サルゴリラ単独ライブ『カレー&ラーメン』特設サイト, サルゴリラ, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ サルゴリラ"結成10周年"単独ライブがスタート! 新たな試み, FANY Magazine, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ サルゴリラYouTube『幼なじみチャンネル』, YouTube, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 又吉・児玉・向井のあとは寝るだけの時間, NHKオンデマンド, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ べらぼう:サルゴリラ赤羽健壱&児玉智洋がゲスト出演 吉原に, MANTANWEB, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ (2026-05-01)サルゴリラ NHK大河「べらぼう」に「7、8回」出演, スポニチ Sponichi Annex, 参照日: 2026-05-05.