大学落研
大学落研(だいがくおちけん)は、日本の大学において落語・寄席演芸の鑑賞、研究、実演を行う学生団体の総称。正式名称は大学落語研究会または大学落語研究部で、落研(おちけん)と略される。多くの団体は古典落語・新作落語の実演を中心に、漫才、コント、ピン芸、大喜利、下座音楽、寄席文字、着付け、地域寄席なども行う[1]。
現在の全国的な実態を見るうえで最もまとまっているのは、全日本学生落語選手権「策伝大賞」公式サイト内の「全国落研NAVI」で、北海道・東北、関東・甲信越、東海・北陸、関西、中国、四国、九州・沖縄の地域別に大学落語サークルへのリンクが整理されている[2]。ただし、これは「ホームページを持つ学生落語サークル」のリンク集であり、全国の落研を完全網羅した名簿ではない。
全国規模の位置づけ
大学落研は、単なる学内サークルではなく、学生落語の全国大会・合同寄席・地域寄席を通じて全国的な交流圏を形成している。
最大級の大会は、岐阜市で開催される全日本学生落語選手権「策伝大賞」。公式サイトによれば、日本の落語文化の発展、落語の祖とされる安楽庵策伝の顕彰、次代の担い手育成、交流の場の提供を目的として開催されている[3]。
第23回大会は2026年2月20日・21日に開催され、全国54大学から288名がエントリーし、映像審査を通過した学生が岐阜市に集まった。決勝では8名が進出し、早稲田大学の柿梅亭果菜が策伝大賞を受賞している[4]。
この数字から見ても、少なくとも大会参加ベースでは、現代の大学落研は全国50大学以上の規模で活動が確認できる。
地域別の主な大学落研
以下は、策伝大賞公式「全国落研NAVI」に掲載されている大学落研・関連団体を中心に整理したもの[2]。リンク集掲載団体なので、休会・名称変更・SNS移行などの可能性はある。
北海道・東北
| 大学・団体 | 備考 |
|---|---|
| 北海道大学落語研究会 | 北海道の代表的落研 |
| 東北大学学友会落語研究部 | 東北地方の主要落研 |
関東・甲信越
| 大学・団体 | 備考 |
|---|---|
| 早稲田大学落語研究会 | 1948年設立。鑑賞と実演の二本柱 |
| 東京大学落語研究会 | 歴史ある東京の落研 |
| 中央大学落語研究会 | 1957年創部、部員約30名 |
| 慶應義塾大学落語研究会 | 落語・大喜利・色物も活動対象 |
| 法政大学落語研究会 | 策伝大賞出場・地域披露事例あり |
| 明治学院大学落語研究会 | 関東落研圏 |
| 筑波大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 東京理科大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 東京農工大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 千葉大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 埼玉大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 國學院大學落語研究会 | 策伝大賞決勝進出者も確認 |
| 青山学院大学落語研究会 | 関東落研圏 |
| 学習院大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 茨城大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 東海大学落語研究部 | 関東・甲信越地区掲載 |
| 拓殖大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 大東文化大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
| 二松学舎大学落語研究会 | 関東・甲信越地区 |
早稲田大学落語研究会は、大学公式サークル情報で設立年1948年、所属人数46人とされ、「落語の鑑賞」と「実演」を二本柱に活動している[5]。
中央大学落語研究会は大学公式ページで創部1957年、部員数30名程度とされ、全日本学生落語選手権策伝大賞での決勝進出実績も紹介されている[6]。
慶應義塾大学落語研究会は、落語を中心に大喜利・色物、つまり漫才やコントも含めて活動していると説明している[7]。
東海・北陸
| 大学・団体 | 備考 |
|---|---|
| 新潟大学落語研究会 | 東海・北陸地区掲載 |
| 岐阜大学落語研究会 | 岐阜の学生落語拠点 |
| 岐阜聖徳学園大学落語研究会 | 岐阜県内 |
| 岐阜工業高等専門学校落語研究会 | 高専だがNAVI掲載 |
| 愛知大学落語研究会 | 愛知県内 |
| 愛知教育大学落語研究会 | 愛知県内 |
| 中部学院大学落語研究会 | 東海地区 |
| 福井大学落語研究会 | 北陸地区 |
| 東海落研連合 | 地域連合組織 |
岐阜大学落語研究会は、岐阜市を中心とした出前寄席などの実演活動を紹介しており、地域との結びつきが強い落研の例といえる[8]。
関西
| 大学・団体 | 備考 |
|---|---|
| 京都大学落語研究会 | 京大寄席など長期継続 |
| 大阪大学落語研究会/落語研究部 | 落語・下座・寄席文字・漫才・コント |
| 関西大学文化会落語大学 | 関西の代表的落研 |
| 関西学院大学甲山落語研究会 | 関西学生落語圏 |
| 神戸大学落語研究会 | 関西学生落語圏 |
| 立命館大学落語研究会 | 関西学生落語圏 |
| 龍谷大学落語研究会 | 関西地区 |
| 京都女子大学落語研究会 | 合同寄席・大会参加が活発 |
| 京都産業大学落語長屋 | 京都の落研系団体 |
| 近畿大学落語講談研究会 | 落語・講談系 |
| 大阪芸術大学落語研究寄席の会 | 芸大系 |
| 追手門学院大学落語研究会 | 関西地区 |
| 大阪歯科大学上方落語研究会OB会 | OB会として掲載 |
| 大谷大学笑いの学校落語研究会 | 関西地区 |
| 関西落研連合 | 地域連合組織 |
京都大学公式広報では、京大落語研究会について、1968年の創部以来つづく「京大寄席」に触れており、第100回興行の様子も紹介されている[9]。
京都女子大学落語研究会の年間行事を見ると、立命館落研との共催、京都大学との共催、神戸大・大阪大落研との共催、京五大学落語選手権大会、全国学生落語の会、策伝大賞などが並んでおり、関西の落研文化がかなり合同寄席・大会志向であることが分かる[10]。
大阪大学落語研究部は、池田市・豊中市・箕面市を中心に定期的に寄席を開催し、落語だけでなく下座、寄席文字、漫才、コントにも取り組むと説明している[1]。
中国・四国
| 地域 | 大学・団体 |
|---|---|
| 中国 | 下関市立大学落語研究会、梅光学院大学落語研究部、鳥取大学鳥大落研、岡山大学落語研究会 |
| 四国 | 愛媛大学落語研究会 |
九州・沖縄
| 大学・団体 | 備考 |
|---|---|
| 九州大学落語研究会 | 九州の主要落研 |
| 福岡大学落語研究会 | 学内寄席・依頼・全国大会参加 |
| 福岡教育大学落語研究会 | 九州地区 |
| 長崎大学落語研究会 | 九州地区 |
| 琉球大学お笑い&落語研究会 | 沖縄地区 |
福岡大学落語研究会は大学学友会ページで、年5回の学内寄席、九州内の依頼、全国の大学との合同寄席、学生落語の全国大会などで活動していると紹介されている[11]。
主な大会・交流イベント
全日本学生落語選手権「策伝大賞」
学生落語の全国大会として最も重要な存在。岐阜市が主催側に入り、NHK岐阜放送局なども関わる。第23回は2026年2月20日・21日に開催され、予選は岐阜市文化センター、決勝はぎふしんフォーラムで実施された[3]。第23回は全国54大学・288名のエントリーで、決勝大会では約1,100人の観衆の前で古典落語や新作落語が披露された[4]。
全国学生落語の会〜大阪冬の陣〜
関西・大阪圏の重要な学生落語イベント。京都女子大学落語研究会の年間行事にも「全国学生落語の会〜大阪冬の陣〜」があり、全国約30大学参加と説明されている[10]。2025年開催情報では、全国27大学の落語研究会が集まるイベントとして紹介されている[12]。
落研グランプリ
関東落研連合主催の学生落語夏の大会。2021年の公式サイトでは「夏を!落語を!盛り上げたい!」という趣旨で、夏の大会・腕試し・交流の場として開催されたことが説明されている[13]。
全国大学生落語選手権 桂福丸杯
福井県小浜市で開催される大学生落語選手権。桂福丸公式サイトでは、2024年開催の桂福丸杯について、受賞者一覧とともに立教大学、二松学舎大学、中央大学、慶應義塾大学、関西学院大学、明治大学などの学生が本選出場者として紹介されている[14]。
落研の活動内容
大学落研の活動は、大きく分けると以下の通り。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| 実演 | 古典落語、新作落語、改作、創作落語 |
| 色物 | 漫才、コント、ピン芸、大喜利、奇術など |
| 寄席運営 | 学内寄席、定期寄席、学園祭寄席、卒業寄席 |
| 技術 | 着付け、所作、声、間、下座、太鼓、笛、三味線、寄席文字 |
| 研究・鑑賞 | プロ落語家の会を鑑賞、落語史・演目研究 |
| 地域活動 | 老人ホーム、地域祭、公共施設、学校などでの出前寄席 |
| 大会参加 | 策伝大賞、桂福丸杯、落研グランプリなど |
| 他大学交流 | 合同寄席、連合寄席、ネタ見せ会、リーダーズキャンプ |
早稲田大学落語研究会は「鑑賞」と「実演」を二本柱とし、約2か月に1度の鑑賞会、年1度の「わせだ寄席」、部員ライブなどを行うと説明している[5]。京都女子大学落語研究会の年間行事には、新歓寄席、共催寄席、合宿、着付け練習会、全国大会、京五大学落語選手権、合同ネタ見せ会、卒業式関連行事などが並び、落研の年間活動モデルをよく示している[10]。
大学お笑いとの関係
大学落研は、近年の「大学お笑いサークル」と重なる部分も多いが、完全に同じではない。
| 落研 | 大学お笑いサークル |
|---|---|
| 落語・寄席演芸を軸にする | 漫才・コント・ピン芸を軸にすることが多い |
| 高座名、一門名、寄席形式がある | コンビ名・ユニット名・ライブ形式が中心 |
| 古典芸能・話芸の継承性が強い | 現代的な賞レース・ライブ文化に近い |
| 地域寄席・出前寄席と相性がよい | 学生芸人ライブ・バトルライブと相性がよい |
| 下座・寄席文字・着付けも扱う場合がある | 音響・照明・映像・企画ライブ運営が中心になりやすい |
ただし、実際には境界はかなり曖昧。慶應義塾大学落語研究会は落語だけでなく大喜利・色物、阪大落研は漫才・コント・ピン芸も活動対象としており、落研が「学生演芸サークル」として機能している例も多い[7][1]。
人気芸人・著名人を輩出した大学落研
大学落語研究会は、プロ落語家だけでなく、テレビタレント、漫才師、コント師、放送作家、演芸評論家なども輩出してきた。特に明治大学落語研究会、日本大学芸術学部落語研究会、創価大学落語研究会、青山学院大学落語研究会、大阪大学落語研究部などは、お笑い史・演芸史上の著名人との関係が深い。早稲田大学についてのみ、落語研究会=落語鑑賞・寄席運営寄りと、早稲田寄席演芸研究会=学生お笑いサークル寄りという別系統が並立しているため、混同せずに扱う必要がある。
概観
| 大学落研 | 主な出身者・関係者 | お笑い史上の意味 |
|---|---|---|
| 明治大学落語研究会 | 三宅裕司、渡辺正行、小宮孝泰、立川志の輔、五街道雲助、瀧川鯉昇、立川談之助、立川談幸 など | タレント・コント・落語家の各領域にまたがる最重要級[15] |
| 日本大学芸術学部落語研究会 | 高田文夫、古今亭右朝、立川志らく、春風亭一之輔、柳家わさび など | 放送作家・落語家・演芸評論の文脈で強く、日芸的演芸・放送文化と結びつく[16] |
| 創価大学落語研究会 | ナイツ(塙宣之・土屋伸之) | 大学落研から現代漫才へ直結した代表例[17] |
| 青山学院大学落語研究会 | 春とヒコーキ(ぐんぴぃ・土岡哲朗) | YouTube・ネットミーム・タイタン系ライブシーンと落研文化が接続した近年の代表例[18] |
| 大阪大学落語研究部 | どくさいスイッチ企画 | R-1グランプリ、アマチュア落語、新作落語、社会人お笑いの文脈で重要[19] |
| 東京大学落語研究会 | 古今亭菊正、まんじゅう大帝国周辺 | 学生落語からプロ落語家、タイタン系漫才へつながる文脈[20] |
| 中央大学落語研究会 | シンクロニシティ、マリオネットブラザーズ周辺 | 現代の大学お笑い・ライブシーンとの接続が強い[21] |
| 早稲田大学落語研究会 | サンキュータツオ、入船亭扇太 など | 日本最古級の大学落研。落語鑑賞会・寄席運営・評論的文脈に強い[22] |
| 早稲田寄席演芸研究会 | 山田邦子、オアシズ、高佐一慈(THE GEESE)、スパナペンチ、素晴らしき人生 など | 1960年発足の老舗お笑いサークル。早稲田の学生芸人文化を支える落研とは別系統[23] |
明治大学落語研究会
明治大学落語研究会は、大学落研のなかでも特に多くの著名な落語家・タレント・コント系芸人を輩出してきた団体である。公式OB一覧には、五街道雲助、三宅裕司、瀧川鯉昇、立川談之助、立川志の輔、立川談幸、渡辺正行、小宮孝泰らが掲載されている[15]。
同会は、落語家だけでなく、テレビ・舞台・コントの分野にも大きな影響を及ぼした点に特徴がある。三宅裕司、渡辺正行、小宮孝泰らは、大学落研からテレビバラエティやコント赤信号・スーパー・エキセントリック・シアターなどのコント文化へ進出した代表的な存在であり、立川志の輔、五街道雲助、瀧川鯉昇らはプロ落語の世界で重要な地位を占めた。
また、明治大学落語研究会には「紫紺亭志い朝」など、代々受け継がれる高座名の文化もあり、三宅裕司、立川志の輔、渡辺正行らがこの名跡を継承したことでも知られる[24]。
日本大学芸術学部落語研究会
日本大学芸術学部落語研究会は、落語家・放送作家・演芸評論の文脈で重要な大学落研である。高田文夫、古今亭右朝、立川志らく、春風亭一之輔、柳家わさびらが日芸落研に関係する人物として知られる[16]。
特に高田文夫は、放送作家・演芸評論家としてテレビ・ラジオ・寄席演芸の世界に大きな影響を与えた人物であり、日芸落研の人的ネットワークを象徴する存在である。立川志らくは、日芸落研の先輩だった高田文夫と知り合い、立川談志を紹介されたという文脈でも語られている[16]。
また、「オール日芸寄席」など、日芸出身者を軸にした演芸イベントも行われており、同落研は大学内サークルにとどまらず、卒業後の演芸ネットワーク形成にも関わっている[25]。
創価大学落語研究会
創価大学落語研究会は、現代漫才に直結する大学落研の代表例として、ナイツを輩出したことで知られる。ナイツの塙宣之と土屋伸之は、創価大学落語研究会で出会い、のちに漫才コンビを結成した[17]。
ナイツは、寄席演芸・漫才協会・テレビ・ラジオを横断して活動する現代漫才の代表的コンビであり、大学落研出身者がプロの漫才界で成功した典型例である。創価大学の広報資料でも、ナイツの2人が創価大学落語研究会出身であることが紹介されている[17]。
このため、創価大学落語研究会は、落語研究会が単に落語を演じる場にとどまらず、漫才師の出会いと育成の場にもなりうることを示す重要な事例である。
青山学院大学落語研究会
青山学院大学落語研究会は、近年では春とヒコーキの出身母体として知られる。春とヒコーキのぐんぴぃと土岡哲朗は、青山学院大学落語研究会の先輩後輩として出会った。インタビューでも、2人は「青学の落語研究会の先輩後輩」だったと語っている[18]。
春とヒコーキは、タイタン所属のコンビとしてライブ、ラジオ、YouTubeなどで活動し、特にぐんぴぃの「バキ童」関連のネットミームやYouTube展開によって、大学落研文化とインターネット発のお笑いが接続した事例となった。
この点で、青山学院大学落語研究会は、従来の落語・演芸サークルの系譜に加えて、YouTube、SNS、ネットミーム、配信文化と結びついた現代的な大学お笑いの一例として位置づけられる。
大阪大学落語研究部
大阪大学落語研究部は、どくさいスイッチ企画を輩出した団体として、近年のお笑い史上で注目される。どくさいスイッチ企画は大阪大学経済学部卒業で、大学では落語研究部に所属し、古典落語の改作「動物園」で全日本学生落語選手権・策伝大賞を受賞した[19]。
卒業後もアマチュア落語家「銀杏亭魚折」として活動し、社会人落語日本一決定戦で優勝。その後、2020年から「どくさいスイッチ企画」として一人コントを本格化させ、2024年のR-1グランプリではアマチュアとして初のファイナリストとなった[19]。
大阪大学落語研究部の重要性は、学生落語、社会人落語、新作落語、一人コント、R-1グランプリという複数の文脈をつなぐ点にある。どくさいスイッチ企画の事例は、大学落研がプロダクション所属前の芸人・作家・演者の基礎訓練の場として機能しうることを示している。
東京大学落語研究会
東京大学落語研究会は、学生落語からプロ落語家、またタイタン系漫才へつながる文脈を持つ大学落研である。近年では、東京大学落語研究会OBの古今亭菊正がプロ落語家として活動しているほか、心染プロジェクトのインタビューでは、まんじゅう大帝国が東京大学落語研究会OBである古今亭菊正を取材している[20]。
まんじゅう大帝国は、タイタン所属の漫才コンビとして活動しており、同プロジェクトでは各大学落研への部室訪問・卒業生インタビューの聞き手も務めている[26]。
東京大学落語研究会は、いわゆる学生落語の名門としての側面に加え、プロ落語家、漫才師、学生落語イベントの周辺文化をつなぐ存在として位置づけられる。
中央大学落語研究会
中央大学落語研究会は、現代の大学お笑い・ライブシーンと接続する大学落研として注目される。マリオネットブラザーズは中央大学落研で出会ったコンビであり、インタビューでは当時の中央大学落研について、他大学との交流は多くなかったものの、シンクロニシティなどを輩出していると語っている[21]。
同インタビューでは、シンクロニシティの西野について、落研時代に周囲へ大きな影響を与えていた人物として語られている[21]。
中央大学落語研究会は、明治大学や日芸のような古典落語・演芸界の大物輩出型とは異なり、近年の大学お笑い、地下ライブ、賞レース予選、学生芸人文化との接続が強い点に特徴がある。なお、中央大学には2021年にお笑いサークルCOPが創部されており、大学公式ページではCOPが「中央大学唯一のお笑いサークル」と説明されている[27]。
早稲田大学落語研究会
早稲田大学落語研究会は、1948年創設の早稲田大学公認サークルであり、同会公式サイトでは「日本で最も古い歴史を持つ落語研究会」と説明されている[22]。
同会は、落語を実演するだけでなく、落語鑑賞会や寄席の企画・運営を重視している点に特徴がある。早稲田大学の紹介記事によれば、同会はプロの落語家を招いた鑑賞会を定期的に開催し、秋には「わせだ寄席」という大規模な会を運営している[28]。
出身者・関係者としては、米粒写経のサンキュータツオが重要である。サンキュータツオは、早稲田大学の落語研究会時代に先輩の居島一平と出会い、漫才コンビ「米粒写経」を結成したと紹介されている[29]。
また、心染プロジェクトでは、早稲田大学落語研究会OBの入船亭扇太へのインタビューも行われており、同会がプロ落語家の輩出にもつながっていることが確認できる[30]。
早稲田寄席演芸研究会
早稲田大学におけるお笑いサークル史を整理する際には、早稲田大学落語研究会とは別に、早稲田寄席演芸研究会も独立して扱う必要がある。早稲田寄席演芸研究会、通称「ヨセケン」は、1960年に発足したライブ中心の演芸・お笑いサークルである[23]。
早稲田大学落語研究会が落語鑑賞会や「わせだ寄席」の運営を中心とするのに対し、ヨセケンは学生芸人・ライブお笑いの文脈に近い。記事やプロフィールでは、山田邦子、オアシズ、THE GEESEの高佐一慈、スパナペンチ、素晴らしき人生などがヨセケン出身・関係者として言及される[31]。
そのため、早稲田のお笑い文脈では、早稲田大学落語研究会=落語鑑賞・寄席運営・落語評論的文脈、早稲田寄席演芸研究会=学生芸人・漫才・コント・ライブ文化の文脈として分けて記述するのが適切である。
落研は古典話芸の訓練の場であると同時に、「人前で話す力」「間の取り方」「声・身体表現の基礎」を養う場として、後の漫才・コント・ピン芸活動の素地にもなっている。
まとめ
全国の大学落研は、少なくとも策伝大賞参加ベースで50大学以上・数百人規模の学生が関わる学生演芸文化圏を形成している。中心は落語だが、実態としては漫才・コント・ピン芸・大喜利・寄席運営・地域公演まで含む「大学演芸の基盤」に近い。特に関東と関西に厚い蓄積があり、岐阜の策伝大賞、池田の大阪冬の陣、小浜の桂福丸杯などを通じて全国的な交流が続いている。
関連項目
- 落語
- 寄席
- 学生落語
- 大学お笑い
- 学生芸人
- 安楽庵策伝
- 策伝大賞
- 明治大学
- 日本大学芸術学部
- 創価大学
- 青山学院大学
- 大阪大学
- 東京大学
- 中央大学
- 早稲田大学
- 慶應義塾大学
- 京都大学
- ナイツ
- 春とヒコーキ
- まんじゅう大帝国
- どくさいスイッチ企画
- シンクロニシティ
- 高田文夫
- 三宅裕司
- コント赤信号
- 立川志の輔
- 立川志らく
- サンキュータツオ
- 早稲田寄席演芸研究会
- 山田邦子
- オアシズ
- THE GEESE
- 高佐一慈
- 米粒写経
- 入船亭扇太
- 古今亭菊正
- 古今亭右朝
- 春風亭一之輔
- マリオネットブラザーズ
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 阪大落研ホームページへようこそ!!, 大阪大学落語研究部, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 3.0 3.1 全日本学生落語選手権「策伝大賞」, 策伝大賞実行委員会, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 4.0 4.1 第23回全日本学生落語選手権『策伝大賞』結果報告, 策伝大賞実行委員会, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 5.0 5.1 Waseda Circle Search:落語研究会, 早稲田大学, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 落語研究会, 中央大学, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 7.0 7.1 落語研究会, 慶應義塾大学 文化団体連盟, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 岐阜大学落語研究会公式ホームページ, 岐阜大学, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 輝け!京大スピリット 落語研究会, 京都大学広報誌『紅萠』, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 10.0 10.1 10.2 落語研究会, 京都女子大学, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 学術文化部会 落語研究会, 福岡大学学友会ウェブサイト, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 全国の学生落語家が12/20(土)池田に集結!「大阪冬の陣」, TOKK関西, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 落研グランプリ, Ochiken_GP, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 桂福丸杯の落語映像をイッキ見!, 桂福丸公式ウェブサイト, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 15.0 15.1 明治大学落語研究会, 明治大学落語研究会, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 16.0 16.1 16.2 日大事件も逆手に青春の“日芸”語る 志らくさん、一之輔さん, 毎日新聞, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 17.0 17.1 17.2 笑いの心, 創価大学50周年特設サイト, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 18.0 18.1 話題のお笑いコンビ・春とヒコーキ「青学の落語研究会の先輩後輩でした」, anan web, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 19.0 19.1 19.2 どくさいスイッチ企画, アミューズ, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 20.0 20.1 第三十三回 東京大学落語研究会OB 古今亭 菊正さん, 心染プロジェクト, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 21.0 21.1 21.2 【マリオネットブラザーズインタビュー前編】面倒くさいが重なって, note, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 22.0 22.1 早稲田大学落語研究会, 早稲田落語, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 23.0 23.1 ヨセケンとは!?, 早稲田寄席演芸研究会, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 明治大学落語研究会 - Wikipedia、参照。
- ↑ 第58回『右朝ふたたび』, ニッポン放送・高田文夫のおもひでコロコロ, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ INTERVIEW インタビュー&部室訪問, 心染プロジェクト, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ お笑いサークルCOP, 中央大学, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 創設から70年超え、日本で最も歴史のある落語研究会, 早稲田大学, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ VOICE - サンキュータツオさん(1), JapanKnowledge, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 第三十一回 早稲田大学落語研究会OB 入船亭扇太さん, 心染プロジェクト, 参照日: 2026-05-06.
- ↑ 意外な共通点, てれびのスキマ note, 参照日: 2026-05-06.