ラーメンズ
| ラーメンズ | |
|---|---|
| メンバー | 小林賢太郎 片桐仁 |
| 担当 | 作・演出・出演:小林賢太郎 出演:片桐仁 |
| 結成年 | 1996年[1] |
| 解散年 | 2020年(小林賢太郎の芸能活動引退によりコンビとしての活動終了)[2] |
| 出身校 | 多摩美術大学 |
| 言語 | 日本語 |
| 国籍 | 日本 |
| 種別 | コント |
| 所属事務所 | トゥインクル・コーポレーション |
| 芸種 | コント・舞台 |
ラーメンズは、小林賢太郎と片桐仁による日本のコントグループ。多摩美術大学の同級生であった2人が在学中から活動を始め、1996年に本格的にスタートした[1]。
「解散」と語られることもあるが、正確には2020年の小林賢太郎の芸能活動引退により、コンビとしての活動が終了した形である[2]。朝日マリオンも「2020年に小林さんがパフォーマーを引退、コンビとしての活動を終了」と説明している[1]。
概要
テレビ露出を主軸に置く一般的な若手芸人の売れ方とは異なり、劇場公演・映像作品・口コミ・DVD・インターネット上の共有文化を通じて支持を広げた。朝日マリオンは、ラーメンズについて「テレビなどへの露出はほとんどせず、舞台を主戦場とし、チケットは即完売」と評している[1]。
作風は、言葉遊び、論理のズレ、不条理、ミニマルな舞台美術、演劇的な構成、身体表現、教育番組的な構文、講義形式、擬似ドキュメンタリー、抽象的な会話劇などを組み合わせたもの。お笑いでありながら、演劇・デザイン・現代美術・映像表現の文脈でも語られやすい存在である。
メンバー
小林賢太郎
小林賢太郎は、ラーメンズの主な作・演出を担った人物。1973年4月17日生まれ。神奈川県出身。小林はラーメンズ本公演のほか、ソロ公演「Potsunen」、演劇プロジェクト「KKP」なども展開し、舞台作家・演出家・パフォーマーとして活動した。
2020年11月16日をもって芸能活動から引退。所属事務所の発表および報道では、今後は執筆活動など裏方に回ると説明された。スポニチは、本人が4〜5年前から表舞台引退を考えていたこと、足の持病も理由の一つであったこと、2009年の第17回公演『TOWER』以来ラーメンズ本公演が実現しなかったことを報じている[2]。
片桐仁
片桐仁は、1973年生まれ、埼玉県出身。多摩美術大学卒業。ラーメンズとして活動後、俳優、声優、タレント、造形作家として幅広く活動している。慶應MCCの講師紹介では、片桐について「在学中に、小林賢太郎とともにコントグループ『ラーメンズ』として活動を開始し、舞台公演を中心にカリスマ的な人気を誇る」と紹介されている[3]。
片桐はラーメンズ以外にも、エレキコミックとのユニットエレ片、俳優業、粘土創作「粘土道」などで活動。トゥインクル・コーポレーション公式プロフィールには、2026年時点の舞台・テレビ・YouTubeなどの活動が掲載されており、ラーメンズ以後も多方面で活動を継続している[4]。
経歴
結成以前・学生時代
小林賢太郎と片桐仁は、多摩美術大学の同級生として出会った。美術大学出身という背景は、後のラーメンズの作風に大きく関わっている。舞台上の余白、色数の少ない衣装、視覚的な構図、言葉の配置、記号性の強いキャラクター造形などに、美術・デザイン的な感覚が見られる。
片桐仁は、2024年の朝日マリオンのインタビューで、ラーメンズとしての活動が芸能界入りのきっかけであったことを認めており、1996年に多摩美術大学を卒業してからスタートしたと語っている[1]。
活動開始
ラーメンズは1990年代後半から本格的に舞台活動を開始した。初期は小劇場・学園祭・テレビの若手ネタ番組などに出演しながら、コントを中心に活動した。
1999年にはNHK『爆笑オンエアバトル』に出演。片桐は、朝日マリオンのインタビューで『爆笑オンエアバトル』出演について「1999年だから、26歳ですね」と回想しており、当時は警備員のアルバイトを2001年まで続けていたとも語っている[1]。
『爆笑オンエアバトル』期
ラーメンズは『爆笑オンエアバトル』を通じて全国的な知名度を高めた。代表的なテレビ披露ネタとしては、「現代片桐概論」「読書対決」「日本語学校」系統などがある。
スポニチは、小林の引退報道の中で、ラーメンズが1999年に始まったNHK『爆笑オンエアバトル』に登場し、「現代片桐概論」などシュールなネタで知名度を上げたと説明している[2]。
本公演中心の活動へ
ラーメンズの中心は、テレビではなく本公演であった。1998年の第1回公演『箱式』から、2009年の第17回公演『TOWER』まで、本公演を重ねた。
特に2000年代以降は、舞台公演のチケット入手が難しくなるほどの人気を獲得。スポニチは、1998年から17回を重ねた本公演について「毎回、チケット入手困難」と説明している[2]。
本公演
映像化・DVD化され、YouTube公式チャンネルでも多くが視聴可能になっている主要本公演は以下の通り[5]。
| 回 | 公演名 | 時期・位置づけ |
|---|---|---|
| 第1回 | 箱式 | 初期公演 |
| 第2回 | 箱式第二集 | 初期公演 |
| 第3回 | 箱よさらば。 | 初期公演 |
| 第4回 | 完全立方体〜PERFECT CUBE〜 | 初期公演 |
| 第5回 | home | 初期代表作の一つ |
| 第6回 | FLAT | 『プーチンとマーチン』『透明人間』などを収録 |
| 第7回 | news | 言葉・報道・情報をめぐる構成 |
| 第8回 | 椿 | 『日本語学校アメリカン』などで知られる |
| 第9回 | 鯨 | 『count』『アカミー賞』など |
| 特別公演 | 零の箱式 | 特別公演 |
| 第10回 | 雀 | 『プレオープン』など |
| 第11回 | CHERRY BLOSSOM FRONT 345 | ツアー色の強い公演 |
| 第12回 | ATOM | 2000年代前半の代表作 |
| 第13回 | CLASSIC | ラーメンズ的様式の定着期 |
| 第14回 | STUDY | 学習・観察・構造化の要素が濃い |
| 第15回 | ALICE | 『不思議の国のニポン』などで広く知られる |
| 第16回 | TEXT | 言語・文字・意味のずれを主題化 |
| 第17回 | TOWER | 2009年の最後の本公演 |
ポニーキャニオンの商品紹介では、第6回公演『FLAT』について、VHSでしか発売されていなかった作品がファンの要望によりDVD化されたこと、作・演出が小林賢太郎、出演がラーメンズ、企画・制作著作がトゥインクル・コーポレーションであることが確認できる[6]。
第17回公演『TOWER』は、2009年4月1日から6月28日にかけて、東京、名古屋、大阪、京都、神戸、新潟、高松、広島、山口、札幌、仙台、福岡、長崎で行われた。ポニーキャニオンの商品紹介では、東京グローブ座公演の模様を収録したDVDとして紹介されている[7]。
芸風・特徴
言葉遊びと論理のずれ
ラーメンズの大きな特徴は、言葉を単なるボケの道具ではなく、構造そのものを笑いに変える素材として扱った点である。
たとえば「日本語学校」シリーズでは、日本語の音・意味・外国語話者から見たズレを利用し、言語教育番組のような形式をコント化している。「読書対決」では、文学作品を読み比べるという形式の中で、要約・解釈・勝敗判定の不条理さが笑いになる。
演劇性
ラーメンズのコントは、単発のボケを並べるというより、舞台作品としての起承転結、反復、暗転、対称性、視覚的配置、ラストの余韻を重視する。
スポニチは、第17回公演『TOWER』などに代表されるラーメンズのネタについて、言葉遊びや知的センス、ミステリーがかった構成、手品のようなトリック、シンプルな舞台美術、モノトーン衣装、裸足のビジュアルなどが「唯一無二の世界観と存在感」を作っていたと評している[2]。
ミニマルな舞台美術
舞台装置は比較的シンプルで、机、椅子、小道具、照明、身体の位置関係だけで世界を作ることが多い。これは予算的な制約というより、観客の想像力を利用する設計に近い。
小林の構成力と片桐の身体性・異物感が合わさることで、少ない要素でも強い世界観が成立した。
片桐仁の存在感
片桐仁は、単なる演者ではなく、ラーメンズの世界における異物性・身体性・不条理性の核であった。独特の顔立ち、間、動き、声、立っているだけで成立するキャラクター性が、小林のロジカルな台本と強く噛み合っていた。
片桐自身も、朝日マリオンのインタビューで、学園祭でよくやっていたコントとして「現代片桐概論」「読書対決シリーズ」「日本語学校シリーズ」を挙げ、「現代片桐概論」では標本役として小林に背負われて登場するだけのような演技だったと回想している[1]。
代表的なコント・作品傾向
現代片桐概論
「片桐」という架空の生物を講義形式で説明するコント。片桐仁の見た目や身体性を、学術標本のように扱うメタ的な構成が特徴。ラーメンズ初期の代表作の一つ。
日本語学校シリーズ
外国人向け日本語学校という設定を用い、日本語の響き、地方名、歴史、語感、発音のズレを笑いに変えるシリーズ。とりわけ「日本語学校アメリカン」などが広く知られる。
読書対決シリーズ
2人がそれぞれ本を読み、その内容をもとに対決するシリーズ。文学作品の要約、解釈、勝敗のつけ方が不条理に展開する。
不思議の国のニポン
第15回公演『ALICE』に含まれる作品。47都道府県を題材にした言葉遊び的コントとして知られる。スポニチもラーメンズの代表的な言葉遊びの例として「不思議の国のニポン」を挙げている[2]。
プーチンとマーチン
第6回公演『FLAT』収録の代表作。ポニーキャニオンの商品紹介では、第6回公演『FLAT』の収録コントとして「プーチンとマーチン」などが掲載されている[6]。
TOWER
第17回公演『TOWER』は、ラーメンズ最後の本公演。ポニーキャニオンの商品紹介では、「タワーズ1」「シャンパンタワーとあやとりとロールケーキ」「名は体を表す」「ハイウエスト」「やめさせないと」「五重塔」「タワーズ2」が収録コントとして挙げられている[7]。
YouTube公式公開と映像文化
2017年1月1日、ラーメンズは公式YouTubeチャンネルで、映像ソフト化されていたコント100本を無料公開した。ORICON NEWSは、小林賢太郎がラーメンズのコント映像100本をYouTube上で公開したこと、広告収入が日本赤十字社を通じて災害復興支援に使われることを報じている[8]。
現在も「ラーメンズ公式」YouTubeチャンネルでは、第17回公演『TOWER』、第16回公演『TEXT』、第15回公演『ALICE』、第14回公演『STUDY』、第13回公演『CLASSIC』などのプレイリストが確認できる[5]。
この公式公開は、ラーメンズの再評価に大きく寄与した。DVDを持っていない若い世代が、過去の舞台コントへアクセスできるようになり、SNSやブログ、YouTubeコメント欄を通じて作品単位で語られるようになった。
ラーメンズとテレビ
ラーメンズはテレビにまったく出なかったわけではないが、バラエティ番組でタレント的に消費されるタイプではなかった。主なテレビ文脈としては、以下がある。
| 分野 | 内容 |
|---|---|
| ネタ番組 | 『爆笑オンエアバトル』など |
| 教育・短編的表現 | 『ピタゴラスイッチ』周辺の文脈 |
| CM | Apple「Get a Mac」日本版など |
| 映像作品 | 『THE JAPANESE TRADITION』など |
| 個人活動 | 小林の『小林賢太郎テレビ』、片桐のドラマ・バラエティ出演など |
テレビで広く露出し続けるよりも、舞台・映像作品・口コミによってブランド化した点が特徴である。
関連プロジェクト
KKP
KKPは、小林賢太郎が作・演出を手がけた演劇プロジェクト。片桐仁も複数作品に出演しており、ラーメンズの延長線上にある演劇的実験の場として位置づけられる。トゥインクル・コーポレーションの片桐仁プロフィールにも、2002年『good day house』、2003年『sweet7』、2004年『paper runner』などKKP出演歴が掲載されている[4]。
Potsunen
Potsunenは、小林賢太郎のソロパフォーマンスシリーズ。ラーメンズよりもさらに小林個人の作家的・視覚的・パズル的な要素が強い。
エレ片
エレ片は、エレキコミックと片桐仁によるユニット。片桐にとって、ラーメンズ以後もコント・ラジオ・ライブ活動を継続する重要な場である。慶應MCCの紹介では、片桐がエレキコミックとのユニット「エレ片」として17年以上ラジオパーソナリティを務めていることも紹介されている[3]。
活動終了・現在
ラーメンズの本公演は、2009年の第17回公演『TOWER』が最後となった。その後、コンビとしての新作本公演は実現しなかった。
2020年12月1日、小林賢太郎が2020年11月16日をもって芸能活動を引退したことが発表された。スポニチは、小林が表舞台引退を4〜5年前から考えていたこと、足の持病も理由の一つであったこと、今後は執筆活動などの裏方に回ることを報じている[2]。
片桐仁はその後も俳優、声優、タレント、造形作家として活動を継続している。トゥインクル・コーポレーション公式プロフィールでは、2020年代以降も多数のドラマ、舞台、テレビ出演歴が掲載されている[4]。
評価・影響
ラーメンズは、テレビスター型の芸人ではなく、舞台作品としてのコントを成立させた存在として評価される。
特に以下の点で後続に影響を与えた。
| 観点 | 影響 |
|---|---|
| コントの演劇化 | 短いネタではなく、舞台全体を一つの作品として構成する方向性 |
| 言葉遊びの高度化 | ダジャレではなく、言語体系そのものを笑いにする作風 |
| 美術大学的感性 | 視覚・構図・余白・記号性の導入 |
| テレビに依存しない人気形成 | 舞台、DVD、YouTube、口コミによるファン文化 |
| 知的・不条理コントの普及 | 「わかる人には深く刺さる」タイプのコントの市場化 |
スポニチはラーメンズの世界観について、シンプルな舞台美術、モノトーン衣装、裸足のビジュアル、言葉遊び、知的センス、ミステリー的構成、手品のようなトリックが重なり「唯一無二の世界観と存在感」を作っていたと評している[2]。
賞レース・受賞歴
ラーメンズは、M-1グランプリやキングオブコント的な賞レースで語られるコンビではなく、主に舞台・映像・オンエアバトル文脈で語られる。
確認できる代表的な受賞・評価としては、『爆笑オンエアバトル』第2回チャンピオン大会で審査員特別賞/談志賞を受けたことが知られている。ただし、この種の戦績は公式アーカイブが現在参照しにくいため、一次資料または番組資料での補強が望ましい。
関連人物・ユニット
| 人物・ユニット | 関係 |
|---|---|
| 小林賢太郎 | ラーメンズの作・演出・出演 |
| 片桐仁 | ラーメンズの出演、俳優・造形作家としても活動 |
| エレキコミック | 片桐仁と「エレ片」を形成 |
| バナナマン | 同時代の東京コント勢として比較されることが多い |
| 東京03 | 後続の演劇的コント文脈で比較されることが多い |
| KKP | 小林賢太郎の演劇プロジェクト |
| Potsunen | 小林賢太郎のソロパフォーマンス |
| トゥインクル・コーポレーション | ラーメンズおよび片桐仁の所属事務所文脈 |
お笑い史上の位置づけ
ラーメンズは、1990年代末から2000年代にかけて、東京の小劇場系・サブカルチャー系コントの象徴的存在となった。
吉本興業的な劇場システム、テレビの賞レース、バラエティ番組のひな壇とは別のルートで人気を獲得した点が重要である。つまりラーメンズは、「テレビで売れる芸人」ではなく、「作品として見に行くコント師」というポジションを強固にした。
この意味で、後の演劇的コント、単独ライブ文化、映像配信時代のネタ消費、知的コント、サブカル系お笑いの系譜を考える上で、避けて通れない存在である。
関連項目
- 小林賢太郎
- 片桐仁
- KKP
- Potsunen
- エレ片
- エレキコミック
- 爆笑オンエアバトル
- トゥインクル・コーポレーション
- 東京コント
- 小劇場演劇
- 大学お笑い
- 多摩美術大学
- YouTube公式配信
- 不条理コント
- 演劇的コント
脚注
- ↑ 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 1.5 1.6 【SP】片桐仁さん ロングインタビュー, 朝日マリオン・コム, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 2.0 2.1 2.2 2.3 2.4 2.5 2.6 2.7 2.8 小林賢太郎 引退は4〜5年前から決意 足の"持病"も一因 ラーメンズ本公演「美大じじい」叶わずも感謝, スポニチ Sponichi Annex, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 3.0 3.1 講師紹介(片桐仁), 慶應丸の内シティキャンパス 夕学講演会, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 4.0 4.1 4.2 片桐仁 (Katagiri Jin), 株式会社トゥインクル・コーポレーション, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 5.0 5.1 ラーメンズ公式, YouTube, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 6.0 6.1 ラーメンズ第6回公演『FLAT』, ポニーキャニオン, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ 7.0 7.1 ラーメンズ第17回公演『TOWER』, ポニーキャニオン, 参照日: 2026-05-05.
- ↑ ラーメンズ、コント映像100本をYouTubeで公開 広告収入で…, ORICON NEWS, 参照日: 2026-05-05.